HPC平和構築入門スクールとHPC問題分析・活動立案ワークショップを続続けて受講された方が、さっそく公募枠でWFPベナンのUNVポストに合格され、赴任されました!素晴らしい成果で、HPCとしても祝福をしています。スクールとワークショップを受講された感想を、赴任前の忙しさの中、執筆していただきました。(2024年12月)
【HPC平和構築入門スクール】を受講して(能登惇朝)
私は、将来、国際機関でのキャリア構築(人権・人道・開発分野)を志望している。受講当時は民間の開発コンサルタント企業に勤務していた。私はこれまで、日本国内では当スクールのように、希望すれば誰に対してもチャンスが開かれており、本人が本気でさえあれば講義を通して国際平和構築分野の知識を体系的に学ぶこともでき、自分次第で貪欲に国際キャリア構築のヒントとなるような情報を吸収できる機会を見たことがなかった。同じく、各講義中のグループグループワークでは、同じ志を持つ受講生同士で各テーマ(国際情勢、開発援助、人道支援分野)について議論を展開し、意見を出し合あえるとのカリキュラム内容を知り、当スクールの開講を知った時に、我こそはと思い、急いで応募をしたことを今でも覚えている。実際に、当スクールの授業では、国際機関でのキャリア形成を真剣に志す受講者に対して、①冷戦以降の激動する(武力紛争を含む)国際情勢と、それに対応したこれまでの国連平和活動の概要、②国際開発分野における援助の歴史、援助構造、そして現在直面する開発課題、③国際人道支援分野では、人道原則に基づく方法論、主要な国際人道支援機関、各機関の機能と個別具体的なオペレーション内容について、国際シンクタク(Sipri、International Peace Insutituteなど)、UNレポート、UNDP資料やOECD統計データなどのエビデンスを用いながら、喫緊の流動的な国際情勢についての知識と深い洞察を得ることが出来た。全3回の各講義の終盤には、職種、経験、専門分野が異なるバックグラウンドを持つ受講生とともに人道、開発、平和構築、昨今の地球規模課題について、各自が紡ぎ出した自身のキャリアイメージと重ね合わせながら意見交換を交え、最後に全体に向けて発表をする機会を得ることができた。このように、私は当スクールを受講して、これまで知りえなかった各分野(平野構築/開発/人道支援)における背景と歴史、最新情報とトレンド、武力紛争の経緯、国際社会の対応、国連機関の機能、支援対象国でのオペレーションについて、講師の詳細な分析とともに包括的な国際協力分野の全体像を理解することができた。全3回のグループワークでは、これまで温めていた自分の考えを皆に共有、アウトプットする経験を通して、今後のキャリアを真剣に描き、組み立てていく上で、非常に参考になったと考える。この場を借りて、講義を担当くださった篠田先生、HPC事務局の皆さん、同じ受講生の皆様に感謝をするとともに、今後の自身の未来への歩みを更に先に進めていきたい。
【HPC問題分析・活動立案ワークショップ】を受講して(能登惇朝)
私がHPC問題分析・活動立案ワークショップに応募した主な理由は、①今後の国際キャリアを考える上で、HPCがこれまでに実施していた、プライマリーコースの中心部分となる「国際情勢/紛争に係る問題分析・活動立案」プログラムのエッセンスを3日間で集中的に学ぶことができる点、そして、②現在の自身の開発コンサルタンとしての経験から、国際情勢/紛争分析・活動立案手法が開発援助分野で重用されている既存のPCM(プロジェクトサイクルマネジメント)手法とどのように異なるのか、また、どのように両手法を日常業務に対しても応用できるのかについて学び、体得することにあった。実際のワークショップ1日目では、実際に手を動かし、仲間と議論を深めながら、主に「紛争分析」手法の一貫した流れ、PCM手法を含む他の類似分析手法について参照しながら、特定紛争事例について「関係者分析」を実施した。具体的には、2022年11月に停戦合意に至った「エチオピア・ティグレ紛争」をワークショップの題材として扱い、各グループはホワイトボーとポストイットを使用して各々のロジカルフロー作り出し、紛争問題を取り巻く全体像を見える化させることによって紛争が生じた論点を洗い出した。2日目は、同事例についての問題分析と目的分析を中心に行い、グループ内での議論を通して紛争問題解決に向けたロジカルツリーを作り上げた。最終日は、1-2日目で作り上げた各グループの分析結果を基盤に、「ティグレ紛争の解決」に向けた具体的なプロジェクトを立案することを目的として、国際機関でも実際に使用されているログフレーム(Logical Framework)を用いて具体的なプロジェクト内容を起案し概要表に落とし込む作業を実施した。は、ワークショップを通じて、当初から抱いていた自身の参加目的は十分に達成されたものと考えている。ワークショップの内容自体についても大変満足をしており、特に国連機関でも採用されている問題分析・計画立案手法については、具体的なエクササイズを通じて学ぶことができる点が本コースの目玉であったと考えている。つまり、HPCワークショップで得られた論理的思考、如何なる問題も構造的にとらえ、MECEなどの枠組みに落とし込む技術は、将来の国際機関への就職を念頭にいれたものだけにとどまらず、普段の日常生活の中での如何なる事象に対しても十分にアプライすることが可能であり、非常に汎用性の高い高等技術であると感じた。自身の現在の開発関連業務において応用できるものと考えている。最後に、同ワークショップには、法曹、公衆衛生、国家行政、開発援助、緊急支援NGO等、多様で分野横断的専門性と多彩な経験を持つ参加者によって構成されており、独力だけではアクセスすることが困難であった考え方や、問題提起の仕方、全体への取り纏め方など、議論を交えながら実務面において資する内容を互いに切磋琢磨し学ぶことができた点が非常に有難かった。全体を通して、講師である篠田先生、上杉先生による経験に基づいた解説とフォローアップはまさに目から鱗であり、書籍だけでは得られない情報量と知見を得ることができたと思う。最後に、ワークショップを通じて知り合えた国際協力の道で挑戦を続ける仲間との出会い、そして大いに白熱した3日間をファシリテートしてくださった篠田先生、上杉先生、HPC事務局の皆さんに心より感謝を申し上げる。