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長谷川 祐弘長谷川  祐弘

(日本国際平和構築協会理事長)
ワシントン大学国際関係開発学Ph.D.。元国連事務総長特別代表(東ティモール担当)。著書:Primordial Leadership: Peacebuilding and National Leadership in Timor-Lesteなど多数執筆。。

平和の概念が変遷するに従って、国連の平和活動の役割も著しく変わってきました。国連が創設された1945年には、平和とは国家間における戦争のない状態を示唆していましたが、冷戦の終結に伴い、国内での紛争が勃発すると、治安維持の支援が主な役割になりました。そして新たな世紀になると、紛争が再発しないようにするために、紛争の根本原因を除去して法の支配と民主主義の理念に基づいた恒久な平和を構築することが平和活動の役割となりました。最近では、紛争原因がイデオロギー化して、武力闘争などが国内や限定された地域だけに限らず、多国間にまたがってきています。このような状態を考慮に入れた新たな平和構築支援活動の中核は、民族や部族の指導者や異なった宗教や価値観を持っている人々が、平和で安定した社会で共存していけるような政治環境を醸成することであります。その為には、ピースビルダーズは、人権の確立と公正で公平な政治を可能にするための法の支配そして自由と人権を重んじる民主主義の基づいた政治体制を育成していくにあたって、平和と開発、すなわち人間の安全保障(human security)と人間開発(human development)の両輪を土台にして、現地の指導者や市民の平和構築を支援していくことが望まれます。平和構築は、究極的には、政治プロセスを意味します。紛争にかかわってきた指導者や当事者が、建設的な役割を果し新たに安定した国家社会を形成する可能性を確立することであります。そのためには、普遍的な価値観と各々の国や社会の伝統的な規範と慣習の融和が求められます。ピースビルダーズは、専門的な知識と技能を身に付けるとともに、このような新たな時代の条件を充分と理解する必要があります。

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